正論

国家ぐるみのドーピング不正の「元凶」はプーチン統治だ 大誤算招いたリオ五輪参加問題  北海道大学名誉教授・木村汎

 ロシアで行われることのほとんどがFSB関与のもとに行われている-この「プーチノクラシー」の本質と実態を、報告は全世界に周知させることになったのだ。

 FSBは、ソ連時代の秘密警察、すなわち国家保安委員会(KGB)の主要後継組織に他ならない。プーチン氏は自ら志願して、大学卒業と同時にKGBに入った。一時期、KGBを退職したものの、エリツィン元大統領に任命されてFSB長官をつとめた。「プーチノクラシー」とは、そのような思想傾向や経歴をもつプーチン氏が、主としてFSB仲間を手先に用いて遂行している統治-こうみなすことが可能だろう。

 FSBの要員たちは、彼らの唯一無比のボス、プーチン大統領の思惑を忖度(そんたく)して行動する。一例を挙げよう。今日までのプーチン政権16年間には不可解な殺人事件が後を絶たない。リトビネンコ(元FSB中佐)、ポリトコフスカヤ(女性ジャーナリスト)、ネムツォフ(野党指導者)等々、政権の目障りになる人物が殺害されてゆく一方で、その犯人が特定され処罰されたケースは皆無である。

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