亀岡典子の恋する伝芸

どこを切っても上方色満載「晴の会」の挑戦-一般家庭出身、ゆかたは着崩れ、正座もできなかった塾生が…

歌舞伎公演「晴の会」の稽古風景=大阪市中央区(竹川禎一郎撮影)
歌舞伎公演「晴の会」の稽古風景=大阪市中央区(竹川禎一郎撮影)

メンバーは全員、歌舞伎と無関係の一般家庭出身

 今夏、オール上方の座組みによる歌舞伎公演が、7月29日から8月1日まで、大阪市阿倍野区の近鉄アート館で行われる「第2回あべの歌舞伎 晴(そら)の会」だ。

 出演者は、平成9年に松竹が、上方歌舞伎の俳優を育成するために設立した「松竹 上方歌舞伎塾」の一期生ばかり5人。脚本の城井十風は上方落語の桂吉坊、演出の山村友五郎は上方舞山村流宗家、監修の片岡秀太郎は上方歌舞伎のベテラン。しかも、上演される「伊勢参宮神乃賑(いせさんぐうかみのにぎわい)」は、上方落語「東の旅」をもとにした喜劇というから、どこを切っても上方色満載の公演ということになる。

 「晴の会」は昨年、旗揚げ。メンバーは、片岡松十郎、片岡千次郎、片岡千壽(せんじゅ)の3人。そこに今年は、片岡佑次郎、片岡りき彌が加わり、戦力アップ。全員、歌舞伎とは関係のない、一般家庭の出身だ。

 そもそも、彼らが歌舞伎界に入るきっかけとなった「上方歌舞伎塾」は平成9年、上方歌舞伎再興のため、関西に住み、上方の言葉を話す上方歌舞伎の俳優を育成しようと、松竹が一般家庭から塾生を募集し、一から育て上げた。

 当時、道頓堀の大阪松竹座の8階にあった稽古場を取材で何度も訪れたが、中心となって指導に当たった秀太郎らが、動きの一つ一つ、せりふの一言一句まで、それこそ手取り足取り指導していたのを思い出す。いま、売れっ子の片岡愛之助が秀太郎の助手のような立場で、塾生の面倒を見ていた。