主張

都知事選と政策 課題克服へ選択肢足りぬ

 2代続けて現職が不祥事で途中辞任した混乱に歯止めをかけ、政治を立て直す展望は見えてきただろうか。

 中盤にさしかかった東京都知事選で、各候補らの論戦はいまだ十分とはいえない。

 終盤に向け、東京が抱える諸課題に向き合い、実現可能な解決策を語ることで、有権者の判断材料を示してもらいたい。

 産経新聞の世論調査などによると、選挙戦はジャーナリストの鳥越俊太郎氏、元総務相の増田寛也氏、元防衛相の小池百合子氏の3氏を軸に展開されている。

 選挙期間中、東京都の待機児童が昨年より約650人増え、約8400人になったことが発表された。子育て環境の深刻化が改めて浮き彫りになった。

 3氏とも待機児童ゼロの方向性を打ち出しているが、説得力に欠けている点は残念である。

 鳥越氏の公約には、具体的な処方箋自体がみられない。

 増田氏は「緊急プログラム」を就任後、1カ月以内に策定するとしているが、解決の方向性を示していないのは無責任だ。

 小池氏は「保育所の受け入れ年齢、広さ制限などの規制見直し」をうたうものの、実現時期などは曖昧なままとなっている。

 介護体制の充実や首都直下地震に対応可能な防災対策など、1300万都民の生命と暮らしを守る政策展開は待ったなしである。具体的な答えを示し、論戦を深めることが欠かせない。

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