中国人に飲み込まれる…奄美・サンゴ礁の海 中国人向け巨大リゾート白紙に

 奄美大島南部にある瀬戸内町も昨年末、ロイヤル社側からクルーズ船寄港を打診された。ただ、関係者と協議する中で、大量の旅行者を受け入れる飲食店や公共トイレなどが未整備だとして断った。

 長崎県・対馬の浅茅(あそう)湾にもロイヤル社側が寄港を検討しているという。対馬市観光商工課の二宮照幸課長は「正式に寄港の意向があれば、庁内で検討する」と語った。

 クルーズ会社が九州の島に手を伸ばす背景には、中国人クルーズ客の急増がある。

 業界内では、アジアのクルーズ利用者は2012年の134万人から2020年は394万人と、3倍になるという試算もある。このうち4割を中国人が占める。

 世界のクルーズ会社にとって、中国は急拡大が見込める市場であり、最重視する。そして手つかずの自然が残る日本の島は、中国人クルーズ客に魅力的に映るという。

 大手旅行代理店のクルーズ旅行担当者は「船会社は航路の差別化を考えており、離島への寄港は旅行ラインアップを増やして、客を獲得する狙いがある」と語った。

 ただ、あまりに多くの訪日客によって、街の雰囲気が変わったり、マナーの悪さで住民とトラブルになるケースもある。

 観光目的ではないが、平成24年7月には長崎県・五島列島に、中国漁船団が突如として現れ、陸から数十メートルの先にずらりと停泊した。台風からの避難を理由としていたが、住民の間には治安上の懸念が持ち上がった。

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