檀一雄の小説「花筐」映画化 大林監督「唐津の魂表現」

佐賀県唐津市を舞台にした映画「花筐」の制作発表に出席した大林宣彦監督(左から3人目)ら
佐賀県唐津市を舞台にした映画「花筐」の制作発表に出席した大林宣彦監督(左から3人目)ら

 佐賀県唐津市を舞台にした映画「花筐(かたみ)」の制作記者発表会が22日、同市内で開かれた。大林宣彦監督は「唐津の美しい風景に宿る魂を、表現したい」と語った。撮影は8月に始まる。(奥原慎平)

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 原作は作家、檀一雄氏が昭和12年に発表した同名の小説。架空の町の10代の男女の青春群像劇を描く。

 大林氏は40年前、花筐の映画化を思い立った。能古島(福岡市)で静養中の檀氏を訪ねたところ、唐津をイメージして書いたと聞かされたという。唐津を訪れ、シナリオを書き上げたが、檀氏が亡くなり、映画化の話はいったん消えた。

 平成26年夏、大林氏は、自身が顧問を務める「唐津シネマの会」のメンバーに当時のシナリオを送った。これを読んだ同会メンバーが、映画実現に動き出した。昨年9月、地元の商工会議所や観光協会などに声をかけ、製作推進委員会が発足した。募金やふるさと納税を通じて撮影資金として1億円を集めている。

 発表会で出演者の俳優、満島真之介氏は「原作を読み、こんなに美しい言葉を紡ぐのか驚いた。限界を超えて作品の世界に入り込みたい」と語った。檀氏の長男で、大林氏の友人でもある太郎氏は「ロマンチストの監督が、どう映画に仕立ててくれるか楽しみだ」と述べた。虹ノ松原や西の浜海水浴場など唐津市内を中心に、約40カ所で撮影される。上映は29年初夏を予定している。

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