改憲始動(4)

「教育の完全無償化」首相が加勢 1議席も欠かせず、維新に配慮

 憲法改正に前向きな自民党やおおさか維新の会など改憲4党が参院で計162議席となり、国会発議に必要な「3分の2」議席を確保した。とはいえ、1議席でも欠ければ発議はできない。今後の改憲項目の絞り込み作業は少数政党への配慮が重要になる。

 インターネット中継動画サイト「ニコニコ動画」が主催した6月19日夜の党首討論会。参院選の公示を目前に控えた与野党党首の論戦は序盤から白熱した。

 「共産党は教育無償化にも反対か?」

 憲法改正による「教育の完全無償化」を掲げるおおさか維新の会の松井一郎代表(大阪府知事)がこう尋ねると、護憲政党を率いる志位和夫委員長は「教育を無償化する方向は必要だが、憲法を変える必要はない」と答えた。松井氏には「生活者に身近な改憲テーマ」を有権者に示す狙いもあった。

 維新は今回の参院選で、統治機構改革や憲法裁判所の設置とともに、教育の完全無償化を改憲項目に掲げた。「国民が求める憲法改正とは何か」(橋下徹・党法律政策顧問)を追求した結果だった。

 日本国憲法26条で定める「義務教育の無償」を拡充し、幼児教育から大学までの授業料を無償にする-。教育環境の整備を国に義務付けた自民党憲法改正草案(平成24年策定)と比べても、その大胆さは際立っている。

 立ちはだかるのは3兆円以上もの必要財源の壁だ。維新は公務員の人件費カットなどにより捻出するとしているが、荒唐無稽とみる向きは少なくない。

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