鑑賞眼

魁春のさりげなさに霊力 国立劇場「卅三間堂棟由来」

 中・高校生ら、あまり歌舞伎になじんでいない若い世代への手引きにと、国立劇場が毎夏恒例としている歌舞伎鑑賞教室。

 今回は「卅三間堂棟由来(さんじゅうさんげんどうむなぎのゆらい)」。人形浄瑠璃から歌舞伎化された作品で、上演される機会は多くないが、日本では古来、伝説や民話などで知られる異類婚姻譚(たん)を題材にした舞台だ。「鶴の恩返し」と同じように、伐(き)られることから救ってくれた横曽根平太郎(坂東彌十郎(やじゅうろう))のもとに嫁いだお柳(りゅう)実ハ柳の精(中村魁春(かいしゅん))の仲むつまじい生活ぶりと悲しい別れの話である。突拍子もない展開を見せるが、歌舞伎様式で表現されるとファンタジーとなる。

 伐られそうになった柳の木の下で、茶店を開いていたのが娘に化身したお柳。2人は結ばれ、緑丸という男子も生まれ、幸せに暮らしている。が、都から進ノ蔵人(しんのくらんど)(坂東秀調(しゅうちょう))が現れ、白河法皇の病を治癒させるには柳の木を棟木に、都に三十三間堂を建立するしかない、との命が下る。

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