熊本地震3カ月

NHK武田真一アナが語る災害報道の教訓は… 「本気で命を救うんだという決意を」

 熊本地震から3カ月。熊本市出身、NHKの武田真一アナウンサー(48)は、発生直後から被害や復旧・復興の状況を日々のニュースで伝える一方、特集番組で故郷への思いもにじませてきた。武田アナに、当時の思いや災害報道におけるアナウンサーの責任について聞いた。            (三品貴志)

 〈武田アナは本震のあった4月16日夜の「NHKスペシャル」で、「熊本県は私のふるさとです。ふるさとを思うと、胸が締め付けられます」と心情を吐露。番組終盤では「この災害を乗り越えましょう」と現地に呼びかけた〉

 私たちはあの番組を放送するにあたり、「被災した方々の状況を代弁し、日本全国にその声を届けたい」というメッセージを込めた方がいいと考えました。番組・キャスターとしての立ち位置を鮮明にするために、ああしたことを申し上げました。

 NHKでは東日本大震災以降、災害時、視聴者にどのような呼びかけをしたらいいか、検討を続けてきました。ただ単に情報を伝えるだけではなく、私たちが被災した方々の立場に立ち、時に励ますことも必要なのではないか。「皆さんに寄り添う放送」ということを鮮明にすることで、災害を乗り越える力に、少しでもなれば。そういう考えに至りました。

 また、私は5人兄弟なのですが、みな地元を離れて暮らしています。発生直後、互いに連絡を取り合っていたのですが、うまく家族や親族と連絡が取れず、不安の声が募っていました。故郷を離れた私のような人たちも、全国にいらっしゃるのではないか。そういう思いも共有したいと思いました。

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