福島第1原発「石棺」言及に地元反発、機構打ち消しに走る

 原子力損害賠償・廃炉等支援機構が、東京電力福島第1原発事故の廃炉作業の新たな「戦略プラン」で建屋をコンクリートで覆う「石棺」に言及し、地元の反発を招いている。福島県の内堀雅雄知事が15日、経済産業省を訪れ抗議、機構の山名元(はじむ)理事長も同日、福島で打ち消しに走った。機構は石棺に言及した部分を修正したプランを週明けにも公表する。

 戦略プランは、第1原発の廃炉作業の技術的な裏付けとなるもので、機構が13日に改定版を公表。石棺は事故で溶け落ちた燃料(デブリ)を取り出さず、原子炉ごとコンクリートで覆うもので、チェルノブイリ原発事故で採用された。

 プランの中では、格納容器を水で満たしてデブリを取り出す方法など従来の内容に加えて、石棺について言及。「当面の閉じ込め確保に効果があるとしても、長期にわたる安全管理が困難」として石棺に否定的な記載だが、「状況に応じて柔軟に見直しを図ることが適切である」と選択の余地を残した記述にもなっている。

 これを受けて、内堀知事が高木陽介経産副大臣と会談し、「福島県民は非常に大きなショックを受けた。(住民帰還などを)諦めることと同義語だ。風評被害の払拭にも影響が及ぶ」と強く非難。高木氏は「国として石棺で処理する考えは一切ない」と述べた。

 一方、福島県庁を訪れた機構の山名理事長は鈴木正晃副知事と面会し、「石棺を検討していることは全くない。ご心配をおかけしたことをおわび申し上げたい」と陳謝した。

 石棺の言及について、機構は「問題点について見解を示すためだった」と釈明、あくまでも引き続きデブリの取り出しを目指すという。

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