浪速風

「大阪を離るる気なし」

祇園祭・前祭の宵々々山が始まり、混雑する四条通=14日午後、京都市下京区(志儀駒貴撮影)
祇園祭・前祭の宵々々山が始まり、混雑する四条通=14日午後、京都市下京区(志儀駒貴撮影)

「コンチキチン」の祇園囃子(ぎおんばやし)が聞こえると鱧(はも)が食べたくなる。祇園祭は鱧祭りの異名がある。大阪の天神祭も同様で、この時期の鱧は「梅雨の水を飲んでうまくなる」そうだ。「あっさりしたものにも作れるし、しっかりたべた、と満足できる料理にもなる」(湯木貞一著「吉兆味ばなし」から)

▶小津安二郎監督の「秋刀魚の味」に、主人公らが恩師を招いた同窓会で鱧料理が出てくるシーンがある。「こんなうまいものは食ったことがない」という恩師に、「それはハモです」「ハム?」「いえ、ハムじゃなくハモ」。恩師は指文字で魚ヘンに豊と書いて、「なるほど、結構なもんですなあ」。

▶映画は昭和30年代の東京近郊が舞台である。最近はあちらのスーパーなどでも見かけるが、鱧はやはり関西の食文化を代表する、それも夏に欠かせぬ食材である。「大阪を離るる気なし鱧料理」(下村非文)。小欄も同感。とは言え、高級魚なので、なかなか口に入らない。