【回答】
結婚当初から金銭面においてルーズであることが分かっている長男の嫁に、どうして金庫の開け方を教えてしまわれたのでしょう。それは、海外旅行であなた方夫婦に万一のことがあるかもしれぬと考えたからか。それなら、直接長男にだけ知らせておけばいいでしょう。となれば今回の情報開示は、この嫁の真の素行を知るための、覚悟の上での試みだったのではないでしょうか。
あなた方夫婦は、幾ばくかのお金をくすね続けている嫁に対し、失望を感じながらも、大人の対応に徹しています。嫁が己の過ちにおのずと気づき告白することを期待されたのでしょうが、現実にはうまくいきません。嫁もほんの出来心といった感じで、ほとんど後ろめたさもないはずです。結果、あなたにとり、進むも地獄退くも地獄の状況になってしまった。
もちろんあなたは悪くない。ですが、これはどこまでも性善説を信じたいあなたが招いてしまった苦しみです。口を閉ざしたまま墓場まで持っていくとしても、結局その苦しみから逃れられない。長男夫婦の将来の生活に対するあなたの懸念も拭えません。
ならばいっそ、あなた方夫婦と長男夫婦の4人で、金庫の一件について腹を割って話し合うべきではないでしょうか。このような場合、誰も傷つけずに済ますことはできません。ただこの話し合いでは「罪を憎んで人を憎まず」という姿勢を貫くべきでしょう。誰しも人は心の弱い者であること、しかしやってはいけないことがあること、このまま放置しておいては長男夫婦の未来に関わると考えたことなど、虚心坦懐(たんかい)に伝えてみる。多少、性悪説を取り入れて振る舞うことは、他者と折り合う方便として、決して悪くはないのです。