鑑賞眼

歌舞伎座「七月大歌舞伎」 激情型封じ人間喜劇を堪能

 夜は、真山青果作の新歌舞伎「荒川の佐吉」から。三下(ばくち打ちの下っ端)から大親分に成り上がる佐吉(猿之助)の話。眼目はしかし、慈しみ育てた盲目の子との別れ、弟分、辰五郎(坂東巳之助(みのすけ))との友情。平成26年の新春浅草歌舞伎「上州土産百両首(じょうしゅうみやげひゃくりょうくび)」の猿之助=正太郎、巳之助=牙次郎(がじろう)を髣髴(ほうふつ)とさせる。良いコンビぶり。海老蔵が悪役の浪人、成川郷右衛門(なりかわごうえもん)、中車が相模屋政五郎(まさごろう)。切りに海老蔵が手掛ける歌舞伎十八番の復活物「鎌髭(かまひげ)」と「景清」を娯楽性たっぷりで見せる。市川左團次が「鎌髭」で付き合う。

 26日まで、東京・銀座の歌舞伎座。(劇評家 石井啓夫)

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