田村秀男の日曜経済講座

荒れる世界の金融市場 日本は「ヘリマネー」検討のとき

 世界の金融市場の波乱が収まらない。英国の欧州連合(EU)からの離脱選択がきっかけだが、主因は中央銀行が創出したカネによって一時的に押し上げられた株式など資産市場の脆弱(ぜいじゃく)さにある。金融偏重で財政支出による実物需要拡大を怠った政策の誤りによる。究極の打開案は、中央銀行資金を財政出動の財源とする「ヘリコプターマネー」政策である。円高・マイナス金利の日本が検討する価値は十分ある。

 グラフは、世界の国内総生産(GDP)、株価、通貨発行量(マネタリーベース)の推移である。通貨は国際通貨基金(IMF)が主要国際通貨として認定しているドル、ユーロ、円、英ポンドを選んだ。中でも基軸通貨と呼ばれるドルは中国など新興国や発展途上国の通貨の価値を裏付けているので、世界経済への影響力はずば抜けている。

 2008年9月には「史上未曾有の金融危機」と騒がれたリーマン・ショックが起きた。米連邦準備制度理事会(FRB)は量的緩和によりドル資金を大量発行して金融機関に流し込んだ。

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