レンズ付きフィルムの先駆けとして、30年前に発売された「写ルンです」に再び注目が集まっている。デジタルカメラやカメラ機能付き携帯電話の普及に伴い、一時は出荷本数が激減していたが、ここ最近は10~20代の若者を中心に人気が再燃。この世代は「写ルンです」を使ったことがなかった人がほとんどだが、「手間がかかることが新鮮」との声が多く、現像した写真をデジタルデータ化してSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で共有することが新たな流行になっている。(中井なつみ)
「深みのある色が出せ、ざらっとした質感になる。色の境界も少しぼける感じで、独特な写真になるところが気に入っています」。若手写真家として活躍する山本春花さん(29)は、レンズ付きフィルムの先駆けである「写ルンです」の魅力にはまっている1人だ。「シャッターを押すだけですぐ撮影できるので、撮りたい瞬間を逃さない。現像に出してから出来上がるまで、どんな風に写っているのか分からない楽しみもある」と話す。
山本さんのように、レンズ付きフィルムを好む若者が増えている。アイドルグループ、AKB48の横山由依さんは昨年10月、ツイッターに「最近写ルンですで写真撮るのにハマってます」と写真を投稿。無料の画像共有アプリ「インスタグラム」でも、昨年ごろからレンズ付きフィルムで撮影した写真の投稿が増加した。写真には、「風合いがおしゃれ」「かっこいい」などのコメントが多く寄せられている。