韓国、AIIB副総裁ポスト失う ミサイル配備決定で中国の報復との臆測も

 【ソウル=藤本欣也】中国主導の国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)で、創設メンバー国の韓国が副総裁職を失うことになった。日米が不透明な運営を問題視する中、朴槿恵(パククネ)政権は対中関係を重視し参加を決断した経緯があるだけに、韓国国内では失望の声が上がっている。

 韓国メディアによると、米軍の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の国内配備を決めた韓国に対する中国の報復ではないか-との見方まで出ている。

 AIIBは中国元財政次官の金立群氏を総裁に、今年1月に開業。出資比率でみると、中国、インド、ロシア、ドイツに続く5番目の地位を占める韓国は、副総裁(5人)の一角に洪起沢(ホンギテク)・韓国産業銀行会長を送り込み、洪氏は投資リスク管理担当の副総裁(CRO)を務めてきた。

 しかし韓国造船大手の粉飾事件の余波が洪氏にもおよび、同行会長時代の責任を問われた洪氏はこのほど副総裁の休職に追い込まれた。中国側の強い圧力があったとも報じられている。AIIBは8日、CROを副総裁から局長級に格下げし、洪氏の後任を公募することを明らかにした。

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