「誤ったインテリジェンスで参戦」ブレア政権の判断を正当化できず 英独立調査委、イラク参戦の経緯を検証

 【ロンドン=岡部伸】2003年3月にブッシュ米政権が主導して始めたイラク戦争に、ブレア英政権が「フセイン大統領が大量破壊兵器を持っている」との誤ったインテリジェンス(諜報情報)を根拠に世論の反対を押し切って参戦した経緯を調べた独立調査委員会は6日、「誤ったインテリジェンスで参戦判断した政府の決定は法的に十分でなかった」とブレア政権の判断を正当化できないとする報告書を発表した。

 調査委員会は7年間の調査に基づく260万語に及ぶ最終報告書の中で、「平和的な手段によるイラクの武装解除の努力は尽くされておらず、軍事侵攻は最後の手段でなかった。大量破壊兵器の誤った情報による参戦判断は法的に正当化されず、軍事侵攻がもたらす結果も過小評価され、フセイン政権打倒後の計画も不十分で政権の見立ては甘かった」と結論づけた。

 英兵179人の死亡などの犠牲者を出し、戦後の安定化に失敗、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)を生む土壌になり、ブレア元首相の判断の妥当性が注目された。

 ブラウン前首相が、調査委を設置。元政府高官のチルコット委員長ら有識者の委員が、ブレア氏ら150人以上を聴取し、15万件以上の政府文書を分析した。

 大量破壊兵器は結局見つからず、「イラク軍は生物・化学兵器を45分以内に配備できる」などとした情報は誤りだったことが判明している。

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