政策を問う-2016参院選

(2)アベノミクスの是非 大和総研 熊谷亮丸チーフエコノミスト「ポピュリズムを排せ」

大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミスト
大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミスト

 参院選で「アベノミクスの是非」が問われているが、アベノミクスは「まず成長戦略で企業を元気にして(家計などへの)分配の原資を作り、日本経済を良くする」という、ある意味で常識的な政策だ。基本的な方向性は正しい。実際、企業収益が過去最高に達し、有効求人倍率は約24年ぶりの高水準になるなど労働環境も改善している。一定の成果は上がってきた。

 これに対し、子ども手当を中心に「分配」を優先した旧民主党政権下では、景気は全く良くならなかった。ビジネスの足を引っ張る政策が打ち出され、日本企業は「円高」「自由貿易の遅れ」などの「7重苦」に苦しめられた。

 安倍晋三政権の問題は、若干、ポピュリズム(大衆迎合主義)に陥りがちであることだ。

 アベノミクスの旧「三本の矢」でいうと、1本目の金融政策は、日銀に大きな負担がかかり、黒田東彦(はるひこ)総裁が孤軍奮闘して、かなり限界に近いところまで政策対応を行っている。

 だが、2本目の財政政策における社会保障制度改革や、3本目の成長戦略における岩盤規制緩和といった、国民の耳の痛い分野には踏み込めず、先送りしてしまっている。

 特に労働市場の改革は岩盤規制緩和の本丸だ。正規と非正規に二極化した雇用体系や硬直的な解雇ルールなどを改革すれば労働生産性が改善するし、若年層の将来不安は解消される。消費低迷、少子化といった構造的問題の解決につながり一石三鳥にも四鳥にもなる。(モノをインターネットで結ぶ)IoTなど目を引く政策ばかり掲げて抽象的な成長戦略を描くだけでなく、抜本的な改革を進めていかなければならない。

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