センサーの反応
なぜ板は上がっていたのか。ここで「ループコイル」という機器の存在が浮かび上がってくる。
ループコイルとは、地面に埋め込まれたセンサーのこと。現場のパーキングではフラップ板の手前に敷設され、車両を感知すると信号を送る。
精算機は検知信号を受信してからしばらく状態に変化がなければ「駐車」とみなし、フラップ板へ上昇命令信号を発信する仕組みになっていた。
つまり、フラップ板上を通過していなくても、車室(白線で区切られた駐車区画)内に一定時間滞留していれば「駐車」とみなされ、板は上がるのだ。
「認識可能だった」
バンパー一つとはいえ、何せ超高級車である。かかった修理費用は約150万円に上ったという。男性側は損害賠償を求め、コインパーキングの運営会社を相手取って大阪地裁に訴訟を起こした。
男性側もフラップ板が上がったことがおかしい、とは言っていない。問題としたのは運営会社の説明・告知義務だった。男性側は「車両が通過していなくても、センサーの反応によってはフラップ板が上がる可能性があったのに、コインパーキングにそうした告知はなかった」と訴えた。
果たして6月に言い渡された地裁判決は、男性側の主張を認めず、請求を棄却した。
現場について「無人のフラップ式駐車場であることは一見して明らか」とした上で、運営会社側は有料駐車場であることを看板で表示し、車室の位置も白線で明確に表示している、と指摘した。
センサーが車を検知した後、フラップ板が上昇するまでの時間は初期設定では2分だったが、運営会社側は3分に設定して余裕を持たせていた。