外交・安保取材の現場から

衛星軌道から戻ってきた男・杉山晋輔外務次官 事務方トップまで登り詰められたのはナゼ?

 ろうそくを使った宴会芸、きつい香水、ごつい指輪、ツタンカーメン柄の絨毯…。過去や現在の醜聞を週刊誌からこれでもかといわんばかりに書き立てられる外務官僚は昨今珍しい。いずれも6月14日に外務省事務次官に就任した杉山晋輔氏(63)のことだ。週刊誌報道の真偽はさておくが、何度も出世街道から外れたと思われたこともあった杉山氏は、なぜ結果的に外務官僚トップの事務次官にまでのぼりつめることができたのだろうか-。

腰の軽さ

 事務次官就任後、10日目にして杉山氏にスポットライトがあたった。

 6月24日午後、英国が前日の国民投票の結果、欧州連合(EU)からの離脱を決めた。外務省は岸田文雄外相が参院選応援で沖縄県入りしていたため、杉山氏がテレビカメラの前で何度も記者団とやりとりすることになったのだ。

 その日のうちに、岸田外相は杉山氏がもともと予定していた26日からの訪米後にロンドンとEU本部のあるブリュッセルを訪問するよう指示した。最初に訪問した米国ではどのテレビ局のニュースをみても、杉山氏が記者団の前で米政府側と英国問題について協議したことを報道。その後もロンドンで英政府高官との会談に応じる杉山氏の映像が各局で報じられるなど、閣僚の外国訪問並みの扱いだった。

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