【カイロ=大内清】イスラム教のラマダン(断食月)の後半にあたる6月下旬から7月初めにかけ、トルコやバングラデシュ、イラクでイスラム過激派によるとみられる大規模なテロ事件が相次いだ。この時期にテロが活発化しているのは、ラマダンを神聖視するイスラムの教えとも無縁ではないとみられる。
3日、イラクの首都バグダッドのシーア派が多い商業地区などで起きた自動車爆弾テロの死者は、中東の衛星テレビ局アルジャジーラによると少なくとも200人以上に達し、うち1件でISが犯行声明を出した。イラク軍によるIS掃討への報復や、テロ実行力を誇示するのが目的とみられる。
ISはバングラデシュの首都ダッカの人質事件でも関与を主張。声明は確認されていないが、6月28日にトルコの国際空港で起きたテロでも関与が疑われる。
今年は6月上旬から7月5日ごろまで続くラマダンはイスラム教で最も神聖な月とされ、その期間中に積んだ功徳は他の月よりも高い価値を持つとされる。中でも、イスラム教を創始した預言者ムハンマドが初めて神の啓示を受けたと伝えられるラマダンの最後の10日間は特に重要視される。
ISなど過激派は、異教徒など「敵」へのジハード(聖戦)は「絶対善」と確信しており、ラマダン中のテロを奨励。過激派の厄介さは、あらゆる機会に教義を援用したこうした論理でテロを正当化し、支持者らに決起を促す点にある。