対象になった運用結果や為替相場で受け取る額が変わる変額年金保険や外貨建て保険などの貯蓄性の高い保険商品は、銀行の窓口で売れ筋だ。保険会社が販売を委託するにあたり銀行に支払う手数料は顧客の支払う保険料に含まれているが、その金額は開示されていない。このため、手数料が10%程度と過度に高い商品もあるという。一方、同じく銀行窓口で売られる投資信託は手数料が2~3%なのが一般的で、手数料の開示もされている。
金融庁が懸念したのは、貯蓄性保険の手数料が非開示のままであれば、銀行が高い手数料目当てに、顧客目線を置き去りにして不要な商品を顧客に勧めかねないという点だ。同じく銀行窓口で売られている投信と同様に手数料開示を義務付ければ、顧客には商品選びで参考になる情報が増え、過度に高い手数料が下がることも期待できると判断した。
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金融庁は今年に入り、生命保険業界に手数料を開示するよう求め、銀行業界も含めて調整してきた。そして、5月20日には手数料開示に関する監督指針改正案を公表して、10月から開示を実施する予定だった。しかし、事態が一変したのは監督指針改正案公表の2日前のことだ。金融庁が突然、銀行業界や保険業界に指針改正を凍結する旨を通告したのだ。