【ニューデリー支局】イスラム教のラマダン(断食月)の夜、バングラデシュの首都ダッカにある飲食店が武装グループに襲撃された。一夜明けて治安当局が突入、武装グループは制圧されたが、店内で人質になっていたとみられる複数の日本人と連絡が取れないことが判明。「信じがたい…」。現地の邦人社会には衝撃と動揺が広がり、日本政府や会社などは情報収集に追われた。
日本人ら外国出身者に人気の飲食店「ホーリー・アーティザン・ベーカリー」に武装した男たちが押し入ったのは、現地時間の1日午後9時ごろだった。
現地報道などによると、武装グループは店の出入り口を封鎖し「アッラー・アクバル(神は偉大なり)!」と叫びながら発砲。爆発物を投げ、店内を制圧した。スタッフら10人以上が建物の階段を上がり、屋上から飛び降りるなどして逃げ出したが、多くの客は人質にとられた。
飲食店の隣に住むレストラン経営の女性(49)は発砲音で異変に気づいた。窓から様子をうかがうと、駆け付けた警察官と武装グループが銃撃戦を展開していた。
周囲は暗く、詳しい様子は分からなかったが、銃声の中で懇願するような男性の声が聞こえてきた。
「アイム・ジャパニーズ、ドント・シュート(私は日本人です、撃たないで)」。女性は産経新聞の取材に、「まるで戦争のようだった」と話した。
近所の男性は銃撃戦を動画で撮影した。「3分ほど前から始まった。とても大きな音。ああ、まだ続いている」。動画の中の男性は恐怖で声を震わせていた。