浪速風

ビートルズが教えてくれた

はっぴ姿でタラップを降りる4人が目に焼きついている。昭和41(1966)年6月29日、ザ・ビートルズが日本にやって来た。空前絶後がオーバーではない騒ぎだった。密着取材したカメラマンの浅井慎平さんはこう書いた。「ビートルズが現われて、ぼくの世界を見る目は変わってしまった」

▶大人は眉をひそめたが、若者は熱狂した。「日陰ばかり好んでいてはいじけてしまう。もっと陽気でもいいんじゃないか」「みんな幸せになっていいんだ。人に迷惑さえかけなければね」…と「ビートルズが教えてくれた」(岡本おさみ作詞、吉田拓郎作曲)からだ。

▶日本武道館での5回の公演は、泣き叫ぶような歓声でほとんど聞えなかったという。延べ8400人の警察官が動員され、約6500人の少年少女が補導された。それでも「世界で一番おとなしい観客だった」と言い残して日本を去った。あれから50年。ビートルズ世代はとうに還暦を過ぎ、古希を迎える。