「18歳」の選挙権 2016参院選

(下)「2%」めぐり試行錯誤

 ■政党幹部「普段通りのことをやるしかない」

 「5年後の私へ。ちゃんと政治に参加して、より良い日本を目指してください」

 桜川市出身の国際医療福祉大2年の小久保綾華さん(19)に、中学3年のころの自分からはがきが届いた。

 「これからは私たちが安全な街や快適な生活を作っていくのだと(過去の自分から)教えられた気がします」

 小久保さんははにかんだ表情を浮かべながらそう語った。

 水戸中央郵便局(水戸市三の丸)で24日、選挙メッセージはがきの発送式が行われた。発送式は若年層の投票率向上を目的に県選挙管理委員会が毎年行っている。県内の中学3年生に、将来の自分宛のメッセージを書いてもらい、20歳になる5年後に本人の元に届けるというもの。今年は今回の参院選から有権者になる18~20歳のうち、計約2万8700人に発送された。

 県選管によると、参院選で新たに有権者となる県内の18、19歳は推定計約5万7千人。これは県内全有権者の約2%にすぎない。さらに平成25年の前回参院選の投票率をみると、60代の約65%に対し、20代は約30%と低い。

 投票率の高い高齢者を優遇する「シルバー民主主義」。これは世代間格差の問題でもあり、若年層の投票率向上は喫緊の課題といえる。それだけに、県選管はフェイスブックやツイッターを利用して選挙情報を発信したり、大学や高校、コンビニエンスストアなどに貼る啓発ポスターに、県選管のホームページにつながるQRコードを掲載したりしている。

 だが、若年層の票の取り込みは困難と感じている候補者は少なくない。

 公示前の6月中旬、ある政党は水戸市内で青年組織の会合を開催した。

 「参院選を若い力で勝ち抜く!」

 そんな威勢の良い党幹部の発言が飛び出し、採択された活動方針には「憲法改正の是非を問う国民投票の年齢も引き下げられるなど、若年層の果たす役割はこれまで以上に高まっていく。学生への働きかけは党全体で取り組んでいかなければならない」との文言が盛り込まれた。

 だが、いざ選挙戦が本格化すると、その勢いも影を潜め、この政党の幹部はこう本音を漏らす。

 「どんなに頭をひねっても、街頭で声を掛ける中で、18歳や19歳に行き当たるしか方法がない。結局は普段通りのことをやるしかないんだよ」

 別の政党の幹部も「若い人たちが政治に関心があるかどうか分からない。関心があったとしても、どれぐらいの知識を持っているのかも分からないし…」。手探り状態なのはどの政党も似たり寄ったりだ。

 もちろん、工夫をしている候補者もいる。

 ある候補者は、自身のチラシに無料通信アプリ「LINE(ライン)」のQRコードを印刷した。QRコードを読み取ることで、この候補者とやり取りができる。「若い人たちはフェイスブックよりラインを気軽に利用するから」とQRコードを印刷した理由を話す。

 これまでにメッセージを送ってくれたのは100人以上。だが、これがそのまま票につながる保証はない。それどころか、投票に行くかどうかすら分からない。

 「親しみを持ってくれているみたいですが、真面目な政治の話まで持っていくのは難しいです…」

 「2%」をめぐる各陣営の試行錯誤は続く。

                   ◇

 この企画は上村茉由が担当しました。

会員限定記事会員サービス詳細