「18歳」の選挙権 2016参院選

(上)「若者の考え反映できる」  

 参院選公示後のある日、筑波大(つくば市天王台)のキャンパスの一角で、学生たちがボードを前に逡巡(しゅんじゅん)していた。ボードには「憲法改正」と「消費増税」の文字。

 「憲法って、簡単に変えていいものではない気がする」「よりよくするためなら、改正もあり」「増税されたら買い物したくなくなっちゃう」「長期的に見たら増税した方がいいかも」…。

 学生たちは少し恥ずかしげな表情を浮かべながらも、賛成か反対か、思い思いの欄にシールを貼っていった。昼休み中の約30分間で35人の意見が集まった。

 この学内アンケートは7月10日投開票の参院選に向けて、学生が政治や政策について意見を述べる機会を作りたいと、同大社会学類3年、山寺恭平さん(21)が企画した。「世間が思っているより、学生は自分の考えを持っている。それを投票することで反映できると意識してほしい」と語る。

 山寺さんは、若者の投票率向上を目指すNPO法人「ドットジェイピー茨城支部」の一員。選挙権年齢の引き下げをきっかけに、同支部が立ち上げた同大への期日前投票所設置を目指す「投票所設置プロジェクト」の中心メンバーでもあった。このプロジェクトに取り組んだのは、同大に所属する同支部の約20人。

 平成27年10月、山寺さんと、同じく中心メンバーの同大社会学類2年、谷口ほのかさん(20)は企画書を持参し、つくば市選挙管理委員会に直談判した。市選管は、期日前投票所を増設するつもりでいたが、予算の都合上1カ所しか増やせず、つくばエクスプレス(TX)つくば駅前に設置した方が利便性がよいとして、同大への設置を渋った。

 今年2月、同大の学生297人を対象にアンケートを行ったところ、100人以上が学内に投票所があれば投票すると回答した。その結果や、投票率向上のための啓発活動の企画書を携えて、3月に再び市選管を訪ねたが結果は同じ。

 ところが、4月26日の委員会で、市選管の判断は覆った。県内の他大学で期日前投票所の設置が決まったことや、山寺さんらの運動を知った市民から問い合わせが来たことなどもあり、「せっかく選挙権年齢が18歳に引き下げられたのだから、若者の投票環境を整えた方がいい」と、同大への設置を決めたのだ。

 知らせを聞いた山寺さんはとにかく驚いたという。「決まったからには、たくさんの学生に投票してもらわないと」と気を引き締め、広報活動や啓発活動を続けている。谷口さんは「世間を騒がせているトピックについても知らない人が多い。投票する前に少しでも勉強してほしい」と話す。

 期日前投票所は、同大の中央図書館2階に29日まで設置される。午前11時から午後7時まで。

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 選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられて初めての国政選挙となる第24回参院選。若者は選挙にどう向き合い、各選管や候補者は若者にどう向き合っているのか。現状を探る。

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