商標の登録諦めないで 特許庁呼びかけ 「自撮り」「歩きスマホ」…先願され断念例も

 この期間に手数料の支払いがあった場合はどうなるのか。同庁商標課は「商標法上、出願された商標が出願した人の業務に関係する商品などに使用するものでない場合や、他人の著名な商標の『先取り』となるような出願は商標登録されることはない」と説明する。

 特定の人物の大量出願も、手数料の不払いを除けば違法な出願とはいえない。

 このため、文書では一般の出願者を想定し、「ご自身の商標登録を断念するなどの対応をされることのないように」と、異例の呼びかけをしている。

 大量出願している人物は産経新聞の取材に「特許庁の文書は商標法上、一般的な事柄であって、コメントする必要もないと思う」としている。

 日本弁理士会の本多敬子副会長は、「先願があるだけで気にする企業も多いので、『登録を諦めないで』という特許庁からのメッセージは心強い。困っている人は弁理士に相談してほしい」と話している。

「阪神優勝」などトラブル

 「商標」をめぐるトラブルは、これまでもたびたび起きている。

 プロ野球の阪神タイガースがセ・リーグ優勝した平成15年、阪神球団と無関係な千葉県の男性が「阪神優勝」を14年に商標登録していたことが判明。球団が男性と譲渡交渉をしたが決裂し、特許庁に無効審判請求して球団の主張が認められた。

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