商標の登録諦めないで 特許庁呼びかけ 「自撮り」「歩きスマホ」…先願され断念例も

 この施設のロゴマークは、白紙撤回された東京五輪公式エンブレムのデザイナーが手掛けていたが、別の作品と酷似していると指摘されて使用を断念しており、「愛称」はロゴ騒動に続く痛手となった。

 商標や特許の出願手続きの代理業務などを行う弁理士もここ数年、この大量出願案件に困惑するケースが増えてきたという。ある弁理士は「出願が重なった場合、係争にかかる時間を考えると別の名称を検討した方が早い、と考える企業もある」と打ち明ける。

 特許庁が5月17日付で出した注意を呼びかける文書は、こうした事態を受けたものだ。

他人は却下

 商標出願には1件あたり最低でも1万2千円の出願手数料がかかるが、この文書によると、大量出願している人物はほとんど手数料を支払っていない。

 ただ、この場合も出願自体はいったん受け付けられる。支払いがなければ1~数カ月で「却下処分」が行われるが、その間は、インターネットで出願状況が確認できる特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)にも出願情報が掲載される。このため、太田市のように「先願」の存在を見て使用を諦めるケースが出ているとみられる。

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