再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の見直しなどに伴って国内太陽光パネル市場が減速する中、パナソニックやシャープが住宅向けの新製品を相次ぎ発売する。パネルの形を工夫して複雑な形の屋根にも効率よく設置できるようにしたり、太陽光を電気変える変換効率を従来品より高めたのが特徴。反転攻勢に向け、新製品の投入で販売テコ入れを狙う。
パナソニックは27日、台形タイプの太陽光パネルの受注を10月から始めると発表した。従来の長方形や正方形のものに、台形型を加えることで、複雑な形状をした屋根でも設置するパネルの枚数が増やせ、より大きな発電量が得られる。
「同じ屋根の面積でも年間の推定発電量が従来品比で30%以上増えるケースがある」(同社太陽光企画課の村上隆史課長)という。
京セラも4月に、業界最多の7種類の形のパネルの組み合わせにより、同一の屋根におけるパネルの搭載量を従来品比で最大約30%高められる新商品を発売。シャープは8月から、現行品よりも変換効率を0・5ポイント向上させ、業界トップクラスとなる19・6%にまで高めた新製品を売り出す。
太陽光発電協会によると、平成27年度の太陽光パネルの国内出荷量は前年度と比べて2割以上も減り、約714万キロワットにとどまった。好転の兆しは見えず、「底打ち感はない」(業界関係者)状況だ。
市場の縮小は各社の業績を直撃し、収益悪化に歯止めがかからない。シャープの太陽光事業は赤字が続いており、事業存続も危ぶまれていたが、29年3月期の黒字化を目指し、親会社となる台湾の鴻(ホン)海(ハイ)精密工業主導で事業立て直しを急ぐ。
引き続き厳しい市場環境が見込まれるが、住宅向けは政府が省エネ住宅の普及を促していることもあり、「堅調に推移する」(村上課長)との期待は大きい。