北朝鮮が中距離弾道ミサイル「ムスダン」発射で一定の技術的成功を収めた。4月15日以来、6発目でようやく手にした成果は何を意味するのか。なぜ何度も失敗したのか? なぜ、ここまで固執するのか? 一連の発射は金正恩氏の3月の「核弾頭装着が可能な弾頭ミサイル実験を実施せよ」に基づいているとみられ、米韓軍当局はムスダンにダミーの核弾頭が搭載されていたかを調べているもようだ。
米朝3年越しのグアムを狙う因縁
「ムスダン」の狙う米グアムのアンダーソン基地は有事の際、米軍の核弾頭搭載の戦略爆撃機「B52」「B1」「B2」、ステルス戦闘機「F22」、無人偵察機「グローバルホーク」などの出撃基地となる。今年1月の核実験では、グアムから「B52」が朝鮮半島上空に飛来、北朝鮮を牽制した。
北朝鮮の核ミサイル戦略は金日成の時代から「米本土に到達する核ミサイル保持」だが、グアム向け配備が実現すれば戦略環境は激変する。ただ米国はすでにこの脅威に備え3年前の2013年春、グアムに高高度ミサイル(THAAD)を配備、予防措置を取っている。