主張

拉致と参院選 救出への言及が足りない

 参院選に臨む党首討論会を聞き、驚いていることがある。それは、拉致問題に対する言及の、あまりの少なさだ。

 拉致は、北朝鮮という国家による残酷な誘拐事件である。国政選挙に当たり、被害者を必ず救い出すとの決意と具体策を各党はもっと熱く語るべきではないか。

 日本記者クラブ主催の党首討論会では、日本のこころを大切にする党の中山恭子代表が「拉致問題が進展していない状態を非常に歯がゆく思っている」と述べ、安倍晋三首相が「拉致問題は最重要課題だ。解決を目指して毅然(きぜん)と交渉を続ける」などと答えたのが、ほぼ唯一の拉致問題をめぐるやりとりだった。

 安倍首相が「最重要課題」とした自民党にしても、参院選公約では、末尾近くで「あらゆる手段を尽くして被害者全員の即時帰国を実現し、拉致問題の解決を目指します」とあるのみだ。連立与党の公明党は「拉致問題の解決なくして国交正常化なし」の基本姿勢で「一日も早い全面解決に向けて全力で取り組むよう政府に求める」と、政府任せである。

 民進党は「期限の定めのないストックホルム合意を検証しつつ、拉致問題の早期解決に全力で取り組む」などとし、共産党は「拉致問題や日本による植民地支配などの過去の清算といった、日朝間の諸懸案を包括的に解決することをめざす」などとしている。

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