証券取引等監視委員会がファンドの実質的代表に課徴金納付命令を出すよう金融庁に勧告する方針を固めたとする産経新聞と共同通信、毎日新聞の記事が名誉毀損(きそん)に当たるとして、実質的代表が3社に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(桜井龍子裁判長)は、原告の上告を退ける決定をした。3社への賠償を取り消し原告の請求を棄却した2審東京高裁判決が確定した。決定は23日付。
争われたのは3社が平成25年9月16~17日に掲載、配信した記事。毎日新聞は共同通信の配信記事を掲載した。監視委は同年11月に原告に40億円余りの課徴金納付命令を出すよう金融庁に勧告している。
原告は記事が出た時点で監視委が勧告の方針を固めていなかったなどと主張。1審東京地裁は「監視委は調査途中で方針を固めたとする記事は真実ではない」として産経新聞と毎日新聞に各55万円、共同通信に66万円の賠償を命じた。これに対し2審は「勧告の方針を固めたとする記事の内容は真実と認められる」として、賠償命令を取り消し3社の逆転勝訴とした。
産経新聞社広報部の話「当社の主張が認められた妥当な決定と受け止めております」