【ベルリン=宮下日出男】欧州連合(EU)離脱の是非を問う英国の国民投票で24日、離脱派の勝利が確実となったことで、EUや他の加盟国は苦しい状況に立たされた。EU加盟国は英国の残留支持で結束をみせたものの、期待を裏切られたことで、戦後の欧州で約60年以上にわたった地域統合の試みは最大の試練を迎えた。
EU加盟28カ国の中で、英国は人口比約13%で3位、国内総生産(GDP)の比率では約18%でドイツに次ぐ域内2位を占める。国連安保理常任理事国の影響力や世界の主要金融センターであるロンドンなど、英国の存在感は地域統合の柱となってきた。
離脱派勝利という衝撃的な結果について、EU指導部や独仏など主要国首脳の反応はまだ出ていない。やEU欧州委員会のアブラモプロス欧州委員(内務・移民担当)は23日、「英国の市民は欧州の家族を成す一部だ」と訴えていた。
中東などの難民・移民流入問題への対応が英国民のEU不信を強めた可能性もある。アブラモプロス氏は「確かに前例のない危機への備えはできていなかった」と認める一方、現在は減少したと強調し、英国の残留に期待を込めた。
英国が離脱を決めたことで、1993年の発足からEUが進めた拡大路線は主要メンバーの離反で頓挫を強いられる。欧州統合への信頼は失墜し、世界経済への影響力がかげる一方、欧州域内でも移民問題や債務危機で新たな離脱を含む反統合の動きが勢いづくことも、新たな懸念となりそうだ。