「空の旅」の最大の楽しみとも言える旅客機の機内食で、航空各社が差別化のため特色を競っている。シンガポール航空は飲食店の格付け本「ミシュランガイド」でグループ3店が計七つ星を獲得する京都発祥の老舗料亭「菊乃井」の特別食を提供し、豪華さをアピール。一方、機内食が別料金となる格安航空会社(LCC)、ピーチ・アビエーションは近畿大が開発した「ウナギ味のするナマズ」を導入した。関西国際空港では、旅客機に乗らなくても機内食を楽しめるレストランが人気を集めている。(藤原直樹)
国産食材にこだわる
「世界中のお客さまに日本の食材のすばらしさを伝えたい」
6月3日に菊乃井本店(京都市東山区)で開かれたシンガポール航空の特別機内食発表会で、デビッド・ラウ日本支社長はこう話し、機内食のできばえに自信をみせた。
菊乃井が考案した特別機内食は、今年で日本とシンガポールの国交樹立50周年を迎えたことを記念し、7、8月の2カ月間、シンガポール航空の日本発着便のビジネスクラス以上で提供される。
菊乃井はミシュランガイドで本店が三つ星、赤坂店(東京都港区)と木屋町店(京都市下京区)がそれぞれ二つ星を獲得。世界的にも例を見ない七つ星の料亭として知られる。
ビジネスクラスでは、東洋文化と西洋文化が混じり合うシンガポールを意識し、国産和牛をだしで煮込み、山椒などで味付けしたビーフシチューに似た「黒毛和牛大和煮」を提供。和牛の産地は便により異なり、関空便では貴重な京都産和牛を使用する。
ファーストクラスでは、国産和牛のローストにイチジクのソース、万願寺唐辛子などを添える。いずれも国産の食材にこだわっている。