浪速風

当選より啓発に力を入れた候補者

戦前、衆院議員を務めた星一(ほし・はじめ)(1873~1951年)はユニークな選挙運動を行った。「政治は奉仕」と大書きしたものなど3種類のポスターを作成したが、どれも候補者名がなかった。そして「選挙大学」という講習会を開講した。まだ選挙権のなかった女性や未成年の若者も集まった。

▶啓発が目的だったのだ。「善良なる日本人は自国を知り、自己の責任を知り、自己の義務を果たします…」と唱和し、政府を株式会社に例えて、わかりやすく政治の仕組みを説明した。終わると修了証を手渡した。「この証書は、社会改造の第一歩という貴重な記念物としての価値を示すものとなるのです」

▶星は「東洋の製薬王」と呼ばれた実業家で、SF作家の星新一さんの父である。戦後の第1回参院選(昭和22年)では全国区の最多得票で当選した。選挙権年齢が18歳以上に引き下げられて初めての参院選が公示された。星をまねて、若者に政治を教える候補者はいないか。