サンバの街から

五輪もはや神頼み 「なんとかなるさ」の国民性も通用せず

 ブラジル人の処世術のことを「ジェイチーニョ」という。どんな場合でもうまく対処する解決策のことで、ブラジル人は世知辛い世の中をジェイチーニョを発揮して生き抜いている。

 旅行先でトラブルに巻き込まれたとき。家の中で電気や水道が止まったとき。何かの期限が迫り、いよいよどうしようもなくなったとき。ブラジル人は臨機応変に知恵を働かせ、その場をなんとか切り抜ける。

 柳に風、逆風でもしなやかに受け流し、どんな難局でも「なんとかなる」と信じる。劣勢のサッカーの試合で選手がゴール前でわざと転んでPKを獲得したときも「ジェイチーニョ」と褒めたたえられる。

 ブラジル人は、ジェイチーニョこそが、国民性をよく表していると語る。

 転じて「ずる賢いやり方」という悪い意味でも使われる。法の目をかいくぐり、ちょっとした嘘をついてその場をやり過ごす。気づかれなければOK。几帳面(きちょうめん)な日本人には、ルールを決して守らないやり方に信じられない気持ちを抱く者もいる。

 いよいよ五輪が迫る。しかし、混乱のさなか準備はままならない。先日、地元紙に「ジェイチーニョはもはやない」との見出しが載った。最後はただただ神に祈る。「これもブラジル人」と現地の友人はため息をついた。(佐々木正明)

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