警察官「歯のようなものが、ハンバーグに入る可能性はありますか」
マネジャー「ハンバーグを作る際に5ミリ以下の牛の軟骨が入ることはあります」
こんなやりとりの後、店側が治療費を支払い、異物が何だったかを解明することを条件に、いったんは話し合いがまとまった。警察官も店を引き上げた。
このとき、マネジャーは証拠保全のため、「歯のようなもの」を洗わずにそのまま保管し、男性が吐き出したものと、食べ残しのハンバーグも冷凍保存した。
異物の正体は
「歯のようなもの」は一体何なのか。同じ日の夕刻、マネジャーは男性とともに、近くのA歯科を訪れた。
「食べた物を口に入れたとき、硬いものが当たったんです」
そう説明する男性の口腔内をチェックし、A歯科は次のような診断結果を示した。
(1)男性の左下のインプラントが外れている
(2)左上の歯肉が傷ついている
(3)全体的に歯周病
インプラント治療とは、自分の歯(天然歯)の代わりに人工の歯根をあごの骨に埋め込み、その上に人工歯を装着してかみ合わせを回復すること。男性は過去にインプラント手術を受け、左下の2本の歯を人工歯にしていた。
A歯科の診察では、男性の口の中から、外れた人工歯は見つからなかった。つまり、男性がファミレスでの食事中に吐きだした「歯のようなもの」は、自身の人工歯である可能性が高いと判明した。
マネジャーはこれを受けて、恐れていたハンバーグへの異物混入はなかったと判断。男性に対しては補償が難しいことを示唆した。