慢性疲労症候群…病気診断されず16年 枚方出身の女性が啓発活動 

 激しい疲労感に微熱、頭痛、筋肉痛、睡眠障害…。こうした症状のため、通勤・通学や家事などの日常生活が困難になる病気がある。「慢性疲労症候群(CFS)」。根本的な治療法が見つかっていないばかりか、保険診療で認められる一般的な検査では異常があらわれないため、発見が遅れるケースが後を絶たない。4月から特殊なCT検査による診断法の開発が始まるなど研究が進む中、患者自ら動くことで病気への認識を広め、治療の遅れや周囲の無理解に苦しむ人をなくそうと啓発活動に取り組む女性がいる。

 「しんどい」という訴えが16年間届かなかった。大阪府枚方市出身で兵庫県西宮市在住の女性(44)は、5年半前に慢性疲労症候群と診断された。

 発症したのは22歳。長年、病気と認められず、治療を受けられないまま重症化した。一日の大半を横になって過ごし、休憩しながらでなければ髪さえ洗えず、「毎日歯を磨く」という今年の目標はすでに断念した。そんな体で啓発活動に打ち込むのは、「もう誰にも私と同じ苦しみを味わってほしくない」という切実な思いからだ。

 異変が起きたのは平成6年4月。夢だった保育士になってわずか2週間のことだった。突然40度近い高熱が出た後、今までにない不調が続いた。水泳の後のように体がだるい。子供の名前が覚えられない。作業の段取りができない-。「仕事の疲れが出たのだろう」。軽い考えとは裏腹に、体調は悪化していった。

 心療内科で「パニック障害」と診断されたが、処方された薬は全く効かなかった。死ぬ思いで仕事を続けたが、次第に真っすぐ歩くことすらできなくなり、2年10カ月目に休職。内科にも行ったが検査に異常はなく、「気の持ちよう」と言われた。復帰後も休職を繰り返した。

 29歳で結婚。仕事は32歳で辞めたが、やがて筋力低下で家事ができなくなった。夫から「一日中寝転んでるのになぜできない」と言われ、けんかが絶えなかった。追い打ちをかけるように、医者から突如「パニック障害ではなかった」と告げられ、診療を打ち切られた。「病気じゃないのに、なぜこんな状態なんだろう」。自分を責めるようになった。

 22年の冬。知人からCFSのことを聞き、専門医のいる大阪市立大医学部付属病院を受診。「典型的なCFS」と診断された。「やっと病気だと認められた」。自分を責めなくていいことがうれしかった。

 だが同時に、新たな苦悩も生まれた。もっと早く診断されていたら、病気の進行を食い止め、今でも歩けたかもしれない。パートでなら働けたかもしれない。「悔しい」。運命を受け入れるのに時間がかかった。

 活動を始めたのは診断から1年後。「社会のために自分だからできることをしよう」。患者の支援を求める請願書を兵庫県議会と西宮市議会に提出。両議会で請願書が採択された。

 また、病気について理解を求める啓発ポスターを作って飲食店などに配布する一方、5月には出身地の枚方市でラジオ出演。CFSの疑いがある場合には専門医を受診するよう呼びかけ、患者の家族らにも理解を求めている。

 活動は体力を大きく消耗する。それでも、「今を一生懸命生きたい。今はできることも、来年にはできなくなるかもしれないから」。細い体で踏ん張る傍らには、今では「一番の理解者」として妻を支える夫の姿がある。

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