健康食品で世界をリード、東洋新薬・服部利光社長(61)

 ■地方のシーズを都会のニーズに 

 福岡市博多区に、非上場ながら健康食品業界のトップを走る企業がある。「東洋新薬」は、健康食品や化粧品を開発・製造し、国内の大手企業向けの商材として納入する。服部利光社長(61)は「黒子に徹し、世の中に出回る健康食品を全てわが社で作りたい」と夢を描く。(九州総局 奥原慎平)

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 青汁をはじめ、健康食品や化粧品を佐賀県の鳥栖工場や熊本工場(熊本県大津町)で製造しています。年間で400種類を数えます。

 スーパーマーケットやドラッグストアに並ぶ商品で、当社の社名が見られることはないでしょう。取引先のブランド名で販売されているからです。

 とはいっても、単なるOEM(相手先ブランドによる生産)ではなく、商品の提案もするODM(相手先ブランドでの設計・製造)なのです。

 消費者庁が商品の効果と表示を審査し、許可する特定保健用食品(トクホ)の許可取得数で、平成17年から国内1位を続けてきました。今年3月には当社の健康食品「葛(くず)の花エキス」にトクホの許可が出ました。「体脂肪、お腹(なか)の脂肪、肥満、お腹周りやウエストサイズが気になる方に適する」との表示が許可された。今後、ブームになると期待しています。

 昨年4月に導入された「機能性表示食品制度」での受理件数は29品(今年5月末時点)と、大手メーカーを引き離しています。

 これは、企業側が「健康の維持・増進に役立つ」との科学的根拠を消費者庁に届け出れば、商品にその効果を表示できる制度です。国が研究開発能力を証明するものです。

 わが社には150人の研究員がいます。認知度の低い理系企業ながら有名大学からの志望者も多い。

 一般の製薬会社では30年間、勤めても、新しい医薬品は1個できるくらいでしょう。われわれは1年間に何百件の健康食品などを開発します。その点が優秀な学生に魅力に映るのでしょう。

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 私は名城大(愛知)を卒業後、大手信販会社で九州地区の営業責任者を務めました。しかし、メーカーとして人の役に立つ物を作り出したいとの思いが募りました。

 「美容と健康は1千年先も通用する」。そんな経済評論家のアドバイスもあり、平成5年に化粧品や健康食品の開発会社を起業しました。自社では工場を持たず、生産は外部委託するファブレスの企業として出発しました。

 そこで生み出した商品が人気となり、自前で工場を建設する資金ができ、研究者との人脈も築きました。

 9年に「東洋新薬」を設立した後、佐賀県鳥栖市などが推進する「鳥栖テクノポリス計画」の進出企業に認定されました。国の低金利融資を基に、工場敷地を購入しました。

 取引先の指定に沿い、商品を作るOEMであれば取引先の力が強く、値切られがちです。そこで、長年培った人脈も生かし、商品のコンセプトをこちらが考え、提案する「ODM」方式を採りました。平成28年3月期の決算で、売上高は約120億円でした。

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 社会貢献にも力を入れています。23年7月以後、熊本や北海道など1道5県と、地域活性化などに関する協定を結びました。業界では珍しい取り組みです。

 地方には商品開発に有効な特別な材料(シーズ)がある。それを大都市の需要(ニーズ)に結びつけるお手伝いをする。地方創生の企業バージョンです。佐賀県とは、薄毛や白髪を目立たなくするパウダーに、頭皮の保湿効果のある佐賀県固有のかんきつ類「ゲンコウ」の果皮エキスを配合した化粧品を開発しました。

 熊本地震では、被災地支援に力を入れています。4月14日の前震の翌日から、社内の「支援部隊」が飲料水(500ミリリットル入り)6万本などを直接、被災地に届けました。

 科学的な根拠に基づいた健康食品を、世の中に浸透させます。販売する社名や商品名は違えども、実はすべて当社が裏で支えている。世界をリードする専門家集団に成長させるのが目標です。