理研が語る

タンパク質が集まるのに号令はいらない 細胞の自発性の起源

【理研が語る】タンパク質が集まるのに号令はいらない 細胞の自発性の起源
【理研が語る】タンパク質が集まるのに号令はいらない 細胞の自発性の起源
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 桜のある大きな公園で新入生たちが花見をすることになった。それぞれが飲物と料理を手に三々五々やってくる。しかし、幹事がうっかりして集合場所の連絡を忘れた。新入生たちはお互いまだよく知らないので、スマートフォンで連絡を取り合うこともできない。どうすればうまく集合できるだろうか。

 2次元で考えると、端から端まで10キロメートルの公園にいる1メートル強の人間と、10マイクロメートル(1マイクロメートルは千分の1ミリ)の細胞にいる数ナノメートル(1ナノメートルは千分の1マイクロメートル)のタンパク質は、大きさの関係がほぼ同じである。細胞の中でタンパク質も集合する。しかし、集合場所について号令を出すものはなく、新入生たちと同じ状況にある。この問題を通してタンパク質の集まり方について考えてみたい。

 たたずんでいても仕方がないのでとりあえずうろうろと移動しながらランダムに公園内に分散した状態になる。たまさか数人が同じ木の下に来ることもあるが、やはり大人数いた方が楽しい。

 そこで、ここだけのルールだが、来た印に木の幹に付箋(ふせん)を張ってよいことにする。ただし、巡回している管理人に見つかればはがされる。付箋を見つければ、仲間が近くにいるからあまり遠くに行かない方がよいと分かる。こうして同時に全員は無理だが一部は集合できるようになる。

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