花形出番です

オケと共演 協奏曲も委嘱 箏曲演奏家・遠藤千晶さん(43)(3)

(寺河内美奈撮影)
(寺河内美奈撮影)

13絃の箏(こと)には、音色の美しさが一番あると思います。シンプルな楽器だからこそ、悲しい音、輝く音、沈む音…。いろいろな表情が出せる。

近年は、オーケストラとの共演にも力を入れています。箏の協奏曲って意外に思われるんですが、和楽器と西洋楽器にはそれぞれ個性があり、違うからこそ、和楽器を一音鳴らしただけで世界観を変える存在感が示せる。互いを尊重し、和楽器の地平を広げたい。

オケとの共演をずっと願っていたのですが、機会に恵まれず、「ならば自分でやろう」と平成21年、東京でのリサイタルで、既存曲を演奏する形で実現させました。リハーサルでは、背後から大波にのみ込まれる感覚を味わった。箏の音量の小ささも実感し、本番まで猛稽古に励みました。その演奏を評価していただき、その後は国内外のオケからソリストとして呼んでいただけるようになりました。

今年10月10日、紀尾井ホール(東京都千代田区)で開くリサイタルでは、さらに大きな挑戦をします。箏の優れた協奏曲を作ろうと、新曲2曲を委嘱し、日本フィルハーモニー交響楽団と世界初演します。

それぞれ箏を熟知し、愛してくださる作曲家、松下功・東京芸大副学長と、23歳の現役芸大生の善養寺彩代さんの新作を披露します。私の後に続く人にも愛される曲になり、また、箏が国際的に認められるよう命懸けで勤めます。(談)

リサイタルの問い合わせはCCN(電)090・7813・7755。

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