浪速風

父は悲壮である

今度の日曜(19日)は「父の日」だが、「母の日」に比べてどうも分が悪い。カーネーションのようなシンボルがないせいだろうか。それとも父親の影が薄いのか。認めたくないが、後者だろう。日本生命の調査では「父の日にプレゼントを贈る」が48・9%で、初めて半数に届かなかったという。

▶向田邦子さんの父親は、夜中に不意に部下を何人も連れて帰り、母親に酒のつまみを作らせる。子供たちに客の靴をそろえさせるが、感謝の言葉もない。「父の風船」では、宿題の紙風船がうまくできずに半泣きになっていると、父親が「もう寝ろ」と怒鳴り、翌朝、食卓に不格好な紙風船があるの見つける。

▶実はそんな宿題は出ておらず、小学校から帰って言い出せずに「よくできましたって、ほめられた」と嘘をつく。昭和の父親は威厳があった。がんこで怒りっぽく、だからこそ愛すべき存在であった。詩人の萩原朔太郎はこう言った。「父は永遠に悲壮である」