福島第1原発事故

「溶融隠し」調査 官邸側に接触せず「不十分」

【福島第1原発事故】「溶融隠し」調査 官邸側に接触せず「不十分」
【福島第1原発事故】「溶融隠し」調査 官邸側に接触せず「不十分」
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 東京電力福島第1原発事故の際、東電内部や官邸(当時民主党政権)で何があったのか。16日に公表された東電の第三者検証委員会の報告書は、肝心な部分が曖昧なままで、「炉心溶融(メルトダウン)」の公表が遅れた理由やその背景が明確になっていない。メルトダウンという用語はかなり衝撃を持った言葉だ。早く溶融を知らせていた場合、住民の避難に影響があったかもしれない。このため、この言葉を隠す意図がなかったか、誰が隠蔽(いんぺい)を指示したかが、この報告書の大きなポイントだった。

 報告書では、当時の清水正孝東電社長が溶融隠しを「指示した」と明記したものの、清水氏自身は検証委の聴取に対し「記憶が薄れている」と認めていない。証拠となる指示文書などもなく、あくまで検証委の「推認」だ。清水氏の指示は「官邸の要請」を背景とするが、検証委は当時の官邸側に接触もしていない。検証委委員長で元仙台高裁長官の田中康久氏は「(政府や国会の)事故調査報告に書かれてあるし、私たちには調査権限もない」「時間が限られていた」と釈明。官邸側の人物や要請内容に踏み込めなかった。

 そもそも検証委の報告書は東電が依頼したもので、純粋な第三者とは言い難い。事故から5年を過ぎ、いまだ事故の未解明部分も少なからずある。継続的な調査のため、権限のある原子力規制委員会など政府組織が動くべきだろう。(天野健作、緒方優子)

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