【産経抄】凶暴化するツキノワグマ 人を食べ物として認識しているとすれば…従来のやり方では危険を招く恐れもある 6月15日(1/2ページ) - 産経ニュース

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凶暴化するツキノワグマ 人を食べ物として認識しているとすれば…従来のやり方では危険を招く恐れもある 6月15日

 大正4年に北海道北西部の天塩(てしお)・苫前(とままえ)村をヒグマが襲い、7人の男女を殺害した。吉村昭さんの長編小説『羆嵐(くまあらし)』は、この大惨事を描いたものだ。30年以上前に、ラジオドラマにもなった。女優さんの上げた悲鳴は、今も耳から離れない。

 ▼北海道に生息するヒグマの体長は、2メートルを超える。これに対して内地に暮らすツキノワグマは、せいぜい150センチ程度の大きさである。臆病な性格で、人間を怖がる動物とされてきた。ところが近年は、人里まで下りてきて農産物や残飯をあさる、人慣れしたクマも増えている。

 ▼秋田県鹿角(かづの)市の山林で5月以来、男性3人、女性1人の遺体が見つかった。いずれもツキノワグマに襲われたとみられる。女性が発見された現場近くで射殺されたクマを解剖したところ、胃の中から人の肉片などが見つかった。

 ▼ツキノワグマは本来、木の実や山菜など植物を常食してきた。たとえ一部でも、人を食べ物として認識し凶暴化しているとすれば、一大事である。鈴やラッパを鳴らして、人の存在を教えて追い払う従来のやり方では、かえって危険を招く恐れが出てきた。