日露戦争秘話

日本の戦費調達を支援したのはキャメロン英首相の高祖父だった! 銀行家として高橋是清から真っ先に外債引き受け…

 戦争前に約4億5000万円の戦費を見積もった日本政府は、約1億円(1000万ポンド)をロンドンで外債として集めることを閣議決定、開戦直後の04年2月に日銀副総裁、高橋是清を米国に派遣した。

 英国側が日本政府と直接交渉することになり、キャメロン氏は04年3月、ベアリングス銀行代表に「利益の上がるビジネス機会を失うのは不本意。高橋渡英までに引き受け条件を再考できないか」との書簡を送っている。さらに、「日本敗北」の観測から日本公債が暴落する中で、キャメロン氏は同月、横浜支店に「米国の協力を得られれば必ず実行できる」との電報を送り、励まし続けた。

 高橋が04年4月1日からロンドンで外債募集を始めると、キャメロン氏は高橋の旧知のパース銀行(現ロイヤルバンク・オブ・スコットランド)らとシンジケートを組んで5百万ポンドの公債発行に応じた。

 高橋は著書『高橋是清自伝(下)』で、「正金銀行(現東京三菱UFJ銀行)と一緒になって、公債発行を引き受けようと好意を表してくれるに至ったのは正金銀行の取引先であるパース銀行と(キャメロン氏の)香港上海銀行だけだった」と回顧。5百万ポンドの公債は年利6パーセント、発行価格93ポンド(額面100ポンド)、期限は7年、関税収入が担保というものだった。

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