福島から問う 廃棄物の重責(上)

除染したのはいいけれど…住宅地に残る黒い廃棄物袋の山 処分先決まらず復興の足かせに

 廃棄物の仮保管は、限界に近づいている。

 「この景色も、もう見慣れちまったよ」。南相馬市原町区の武山勇一さん(74)は、除染廃棄物の仮置き場になった農地を囲む白い壁を眺めながら、ため息を漏らした。

 市から土地を貸してほしいと依頼された当時、区長を務めていた。所有者らに頭を下げて土地の提供をお願いし、自らの田んぼも約3千平方メートル提供した。契約は今年3月までだったが、搬出の見通しがなく、さらに3年先に延長された。

 「土地を返してほしいと無理を言ったってしょうがねえべ。施設ができないと運び出せねえ」。武山さんは一日も早く、米作りを再開したいと願い続けているが、その道筋が見えない。

 除染はそもそも住民の安心のためにあった。それが行き場のない廃棄物を生み、復興の足かせになるという袋小路。

 「仮置き場が生活圏内にあること自体、普通の状況ではない。多くの仮置き場が農地にあり、営農再開の妨げになるだけでなく、風評被害を受ける懸念もある」。南相馬市の桜井勝延市長はこう強調した。

 放射性廃棄物の処分が事故から5年を過ぎた今も難航している。廃棄物とどう向き合うか。福島の現場から、その答えを探った。

■用語解説「除染廃棄物」

 東京電力福島第1原発事故で飛散した放射性物質の付着した表土の削り取りや、枝葉や落ち葉の除去、建物表面の洗浄などの「除染」で出た土や可燃性の廃棄物。放射線で住民が被曝するのを防ぐため、土やコンクリートで周囲を遮蔽し、生活圏から遠ざけることが求められている。福島県内の除染で出た廃棄物は、福島第1原発の周辺に建設する「中間貯蔵施設」に搬送する。

会員限定記事会員サービス詳細