福島から問う 廃棄物の重責(上)

除染したのはいいけれど…住宅地に残る黒い廃棄物袋の山 処分先決まらず復興の足かせに

 5月末、政府の原子力災害現地対策本部長の高木陽介経済産業副大臣は南相馬市役所を訪れ、7月12日に避難指示を解除する方針を伝えた。解除対象は、約3500世帯1万1千人。1万人を超える大人数が一挙に避難指示解除されるのは初めてだ。

 5月半ばに市内で開かれた住民説明会。「帰還に向けた準備が整った」。政府が淡々と現状を説明したことに対し、住民から不満の声が渦巻く。「道路の除染はまだ終わっていない」「仮置き場の除染廃棄物はいつまで置いておくのか」。市内の仮設住宅で暮らす女性は「戻っても、不安を抱えながら暮らすことになる」と吐き捨てた。

 福島県内の除染で出た廃棄物は、昨年12月末時点で1030万立方メートル。除染は続いており、環境省によると、廃棄物は最大で東京ドーム18個分の2200万立方メートルに上ると見込む。約1千万個の黒い袋が、農地や住宅の庭など、約13万カ所に置かれたままだ。

 なぜこんな事態になったのか。環境省では事故から3年程度で廃棄物を1カ所に集約するつもりだった。しかし「中間貯蔵施設」と呼ばれる長期管理施設の用地取得が難航し、行き場を失った廃棄物が漂流している状態だ。

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