田中靖人の中国軍事情勢

中国が南シナ海に防空識別圏(ADIZ)設定を画策か 南沙・人工島にレーダー、西沙諸島に3千メートル級滑走路

 今月3~5日、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議(シャングリラ対話)や、続く北京での米中戦略・経済対話で問題になった南シナ海での中国の人工島造成に関連し、にわかに浮上してきたのが「南シナ海防空識別圏」だ。中国が2013年11月に東シナ海で設定した後、南シナ海でも設定するとの観測は後を絶たない。設定されれば、日本が将来参加する可能性のある米国などとの哨戒機による監視活動にも影響が及びかねない。

区域別に設定か

 きっかけは1日付の香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストの1面の記事だ。同紙は、人民解放軍に近い情報筋の話として、中国が南シナ海の上空に防空識別圏(ADIZ)の設定を準備していると報じた。ADIZは、領空侵犯への対処時間を確保するために領空の外側に設定する監視空域で、進入機の動きによって緊急発進(スクランブル)が必要かどうかを決める。

 同紙は、中国の軍事動向に詳しい民間研究機関「漢和情報センター」(本部・カナダ)の雑誌を引用する形で、中国が南シナ海で設定するADIZの範囲は、実効支配するパラセル(中国名・西沙)諸島のウッディー(同・永興)島や、スプラトリー(同・南沙)諸島で造成を進める7カ所の人工島の周辺上空になる可能性があると紹介した。

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