シニアの星

人は73歳でも歌手デビューできるのか? 妻の死を乗り越え「レコード大賞新人賞を目指します!」

73歳でデビューし、「自分は歌が好きなんだと再確認する毎日です」と語る石塚ひろしさん(大西史朗撮影)
73歳でデビューし、「自分は歌が好きなんだと再確認する毎日です」と語る石塚ひろしさん(大西史朗撮影)

 「演歌歌手になる」という10代からの夢を、古希を過ぎてからかなえた人がいる。青森県弘前市出身の石塚ひろしさん(73)だ。所属するレコード会社によると、男性のソロ演歌歌手としては最高齢でデビューを果たした。一度は夢をあきらめ、妻との死別で生きがいを失ったこともあるが、夢の舞台に立つ姿は「シニアの星」として注目を集めている(櫛田寿宏)

体全体が楽器

 デビュー後の石塚さんは、東京都内の繁華街を中心に、カラオケのある飲食店に飛び込んでは営業活動にいそしむ日々だ。デビュー曲「越冬(ふゆ)の酒」をカラオケで歌い、店内の客に聞いてもらった後、CDを一枚一枚、手売りしている。

 担当するキングレコードのディレクター、大槻淳さん(48)は「すごい行動力。若い人でもここまでやる人はいない。バイタリティーにあふれ、石塚さんの年齢を忘れてしまうことがありますよ」と感心する。

 180センチの長身にスリムな体形。背筋はピンと伸びている。「若い頃から民謡を習ってきました。民謡は姿勢を正し、体全体を楽器のようにして声を響かせなければなりません。特に運動をしているわけではないのですが、毎日歌うことが元気の秘訣です」と笑う。

独りぼっちになって

 演歌歌手の三橋美智也さんや春日八郎さんが好きだった母親の影響で歌手を目指した。弘前市内の中学卒業後に上京。新聞配達などをしながら、夜は盛り場で客のリクエストに応えて歌う「流し」で経験を積んだ。

 がむしゃらにがんばってはみたものの、チャンスはなかなか訪れず、26歳で結婚したのを機に会社員に。歌手の夢は封印した。ただ、民謡や三味線を趣味として習い続けた。「歌手への未練を断ち切れなかったんでしょうね」と石塚さんは振り返る。

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