パチンコ店、刑務所前でも勧誘
振り込め詐欺など特殊詐欺の犯行グループのメンバーとして誘い入れる「リクルーター」が暗躍している。4~5月にはファッションデザイナーの山本寛斎さんのおいがグループの一員として詐欺容疑で摘発されたが、勧誘したのもリクルーターとみられる。生活費に困る人を巧みに見つけ出しては犯行グループに引き込み、刑務所の出所者も狙うというリクルーター。警察当局は特殊詐欺を下支えしているとみて実態解明を進めている。
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「仕事あるぞ」
2年ほど前、東京都内のパチンコ店で、客の男が特殊詐欺のリクルーターとされる謎の男から突然、連絡先を伝えられた。
客の男は山本寛斎さんのおい、岸田健被告(53)=詐欺罪で起訴。かつてはアパレル会社の社長だったが、22年前に詐欺容疑で逮捕された。関係者によると、カプセルホテルやネットカフェを泊まり歩く「住所不定、無職」となっていたという。
岸田被告は当初は、「興味がない」などとリクルーターの誘いを断っていたが、2年後になり男に連絡した。紹介されたのは、特殊詐欺の被害者から現金を受け取る「受け子」の仕事だった。