舛添要一知事が選んだ元検事の弁護士2人は「公私混同」疑惑について「いずれも違法性はない」と結論付けた。だが、舛添氏がこの結論を今後の都議会などで、金科玉条のごとく振りかざすようであれば、都民の信頼回復は望めない。
そもそもザル法とされる政治資金規正法は、家族旅行に行こうが、マンガ本を買おうが、収支報告書の記載に虚偽がなければ罪には問われない規定となっている。だからこそ「不適切」と断じた弁護士の指摘は重い。約440万円に及ぶ不適切な支出には、国民の税金である政党交付金が含まれていた。慈善団体に寄付しようが、私的流用した事実は消えようがない。
舛添氏が問われているのは政治家としての「資質」にほかならない。舛添氏は「自分は都民の信頼を失っている」として自らの説明責任を弁護士に丸投げした。ホテル代が家族旅行か政治活動か、自分が一番よく知っていたはずなのに、だ。
7日には都議会の追及が始まる。弁護士の言葉を借りず、自らの言葉で都民の納得が得られるような答弁ができなければ、幕引きは図れないだろう。(伊藤鉄平)